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聖歌は生歌

聖歌は生歌

結婚式

 
結婚式の聖歌


日本では、結婚式と言うと、いまだにチャペル式の結婚式が根強い人気を保っています。教会の知名度によっては、土日や祝日・大安の日(教会の暦とは関係ないのですが)は、何回も結婚式を行う教会もあるほどです。そのような時の聖歌や音楽は、ほとんどお決まりで、こういうことばを使うのも語弊があるかもしれませんが、本当によいかどうか反省なく行われていることはないでしょうか?そこで、このページでは結婚式の聖歌と音楽について考えてみたいと思います。

 さて、教会と言っても、カトリック教会の場合ですが、基本的に結婚式が想定されているのは
  1. 新郎新婦ともにカトリックの信徒
  2. 一方がカトリック信徒で、もう一方はカトリック以外のキリスト教信徒
  3. 一方がカトリック信徒で、もう一方はキリスト教以外の一神教の信者
 の結婚式なのです(『カトリック新教会法典』第1124条~1129条参照)。ですから、原則論になりますが、日本のように、新郎新婦(証人も)ともに非キリスト者という結婚式は、実は、カトリック教会の結婚式では、想定されていないのです。では、なぜ、想定されていないことが日本では行われているかと言うと、キリスト者の人口の少ない日本では、宣教の一つの手段として例外的に認められていると言うことで、この点を十分に留意する必要があると思います。
 さて、次に気になると言うか、わたくし自身は良心の呵責にさいなまれているのが、式の入祭と退堂のときの音楽です。教会で行われる結婚式の場合、ほとんど、入堂ではワグナーの、退堂ではメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が演奏されます。ところが、『カトリック儀式書 結婚式』の典礼注記では、どちらも、聖歌を歌うことが原則で、「または」としてオルガン演奏があげられています。さらに、1967年に礼部聖省(現在の典礼秘跡省)から出された「典礼音楽の指針」では次のように書かれています。
 「秘跡と準秘跡の祭儀のあるものは・・・・・・結婚式、葬儀などのように・・・・・・小教区共同体全体の生活にとって特別な重要性をもっているのであって、儀式の荘厳さがより多くの司牧的効果を挙げることに役立つように、それらはできる限り歌で執行されるべきである。しかし盛大さという理由のもとに、世俗的なものや礼拝式にふさわしくないものが、導入されることがけっしてないように、慎重に警戒すべきである。このことはとりわけ結婚式についていえる(43項)
 具体的に名指ししてはいませんが、先にあげたような、本来は、劇場用のオペラなどのために作曲されたもの=結婚式のために作られたものではないもの=を結婚式結婚式のミサ用いるべきではないと言っているのです。さらに、これが、つい最近交付されたものではなく、第二バチカン公会議直後に出されているにも関わらず、日本では、まだまだ、十分に周知されていないことは大変残念なことですし、教会の悪い意味での世俗化だと思います。

 それでは、なぜ、このような、本来結婚式のために作られたものではないものが、なぜ教会の結婚式に用いられるようになったのかを調べる必要もありそうです。わたくし自身も、なかなか、ここまでは手が回らないのですが、もし、皆様の中で、「こんなうわさを聞いた」とか「こんな理由によるらしい」というものがあったら、ぜひ、お知らせください。それにしても、カトリックばかりではなく、他教派の教会でも、あまりにも無批判・無反省に使っていると思います。宣教・伝道という理由で、あるいはその他の理由で、教会での結婚式が行われていますが、本当に宣教・伝道に効果を挙げているのかも反省してみることも大切ではないでしょうか。

 カトリック教会の場合、基本的に、結婚式秘跡であること、また、新郎新婦ともに信徒以外の結婚式は例外ということをよく理解しておく必要があると思います。そして、小教区での結婚式やそこで歌う聖歌が、本当に結婚式ふさわしいものかどうか、一度、話し合ってみることも必要かもしれません。
 ちなみに、わたくしたち夫婦の結婚式は、すべて『典礼聖歌』で行いました。この他に、『カトリック聖歌集』などからも選ぶことができると思います。なお、儀式書の最後には「日本の教会において留意すること」が書かれています。非常に大切なことですから、それもぜひ一度お読みください。繰り返しになりますが、入祭、退堂は、儀式書の典礼注記にもあるように、聖歌を歌うことが基本であることをぜひ、知っておいてください。

 日本のでは「教会での結婚式」が、あまりにも「憧れ的シンボル」になりすぎた気がします。すべてが悪いとは言いませんが、特に、聖歌や音楽に関しては、もう少し内容を考え、反省する必要があるように思います。皆さんのご意見もお聞かせください。
 


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